高齢者のお漏らしは防げるのか?
高齢者のトイレトラブルは、多くの人が直面する問題です。「年をとったから仕方がない」と諦めがちですが、生活習慣の見直しや適切な対策を行うことで、お漏らしを防ぐことは可能です。

ピコ
この記事は、以下の人におすすめです
・最近お漏らしが増えてきた方
・高齢者のご家族や介護者
・尿もれ予防や健康管理に関心のある方
本記事では、高齢者のトイレトラブルの原因を解説し、具体的な対策方法を5つ紹介します。これらの方法を実践することで、安心して日常生活を送るためのヒントを得ることができるでしょう。
高齢者のお漏らしの主な原因とは?

お漏らしが増える原因はいくつかあります。以下のような要因が影響していることが多いです。
加齢による筋力低下と膀胱の機能低下
加齢に伴い、膀胱の収縮力が低下し、尿をためる能力が衰えます。また、尿道括約筋の筋力が低下することで、尿をコントロールしにくくなります。
排尿のリズムが乱れる生活習慣の影響
不規則な生活や水分摂取の管理不足により、尿意のコントロールが難しくなります。特に、夜間頻尿が増える原因になります。
持病や服薬の影響による尿もれ
糖尿病や前立腺肥大、認知症などの病気が排尿トラブルを引き起こすことがあります。また、利尿剤などの薬の影響でトイレが近くなる場合もあります。
トイレ環境の問題(距離・段差・夜間トイレ)
トイレが遠い、段差がある、夜間にトイレまで行くのが困難といった環境的要因も、お漏らしの原因になります。
お漏らしを防ぐための基本的な生活習慣

お漏らしを防ぐためには、まず日常生活の見直しが重要です。
水分補給の適切な管理
- 適切な量の水分を摂る(極端に減らすと便秘や脱水症状のリスクが高まる)
- カフェインやアルコールを控える(利尿作用があるため)
塩分やカフェインの摂取を控える
塩分を摂りすぎると、体内の水分バランスが崩れ、尿の排出が不安定になります。
便秘を防ぐことが排尿コントロールにも影響する
便秘は膀胱を圧迫し、尿意を感じやすくなるため、排泄全体のコントロールが難しくなります。
規則正しい生活リズムを作ることの重要性
決まった時間に寝る、起きる、食事をとることで、体内の排泄リズムが整い、トイレの失敗が減ります。
方法1:骨盤底筋トレーニングで尿もれを予防
骨盤底筋を鍛えることで、尿道を締める力を強化し、尿もれを防ぐことができます。
骨盤底筋の役割とは?
骨盤底筋は、膀胱や直腸を支える筋肉で、排尿のコントロールに関与しています。この筋肉が衰えると、くしゃみや咳をした際に尿が漏れやすくなります。
自宅で簡単にできる骨盤底筋トレーニングの実践方法
- 仰向けになり、お尻を締めるように骨盤底筋を意識する
- 3秒間締めて、3秒間リラックスする
- 1日10回を目安に行う
- 立った状態や椅子に座ったままでもトレーニング可能
方法2:トイレ環境を整えることで排泄の負担を減らす

トイレ環境の改善は、高齢者が安全かつ快適に排泄できるために不可欠です。自宅のトイレ環境を見直し、バリアフリー対策を進めることで、排泄時の事故やストレスを大幅に減らすことができます。
トイレまでの動線の確保と安全対策
- 廊下や部屋の間にある障害物を取り除き、転倒を防ぐ
- 床に滑り止めマットを敷くことで、歩行時の安全性を高める
- トイレまでの距離が遠い場合は、寝室近くにポータブルトイレを設置する
方法3:排泄リズムを整え、トイレの習慣をつける

排泄リズムを整えることは、お漏らしを防ぐために重要です。高齢者は尿意を感じにくくなったり、トイレのタイミングを逃してしまったりすることがあります。適切なトイレの習慣を身につけることで、排泄のコントロールを改善できます。
排泄の時間を意識した生活習慣を作る
- 毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける(食事後、寝る前など)
- 朝起きたらすぐにトイレに行くことで、一日の排泄リズムを整える
- 長時間座ったままにならないよう、定期的に立ち上がり、トイレに行く習慣を持つ
排泄日誌をつけ、最適なタイミングを見つける
- いつ尿意を感じるのか、トイレに行く頻度を記録する
- お漏らしが発生しやすい時間帯を把握し、事前にトイレに行く工夫をする
- 必要に応じて医師と相談し、生活リズムに合ったトイレ習慣を作る
トイレへの意識を高める工夫
- トイレを意識しやすい環境を整える(目につきやすい場所に案内を貼る)
- 家族や介護者が声かけをし、トイレの時間を忘れないようにする
- 睡眠前に必ずトイレに行く習慣を作り、夜間のお漏らしを防ぐ
このように、排泄リズムを整え、習慣化することで、お漏らしの頻度を大幅に減らすことが可能です。
方法4:食事と栄養で膀胱機能をサポートする

食事と栄養の管理は、膀胱機能の維持にとても重要です。適切な栄養を摂ることで、排尿機能を正常に保ち、お漏らしのリスクを減らすことができます。
膀胱機能を向上させる栄養素
- 亜鉛:膀胱の健康維持に重要なミネラル。
- ビタミンD:筋力低下を防ぎ、骨盤底筋の働きを助ける。
- マグネシウム:膀胱の収縮を調整し、過活動膀胱を予防。
便秘対策としての食物繊維摂取
便秘は膀胱を圧迫し、尿もれの原因になります。食物繊維を豊富に含む食品(野菜、果物、全粒穀物)を摂取し、腸内環境を整えることが大切です。
水分摂取のタイミングを意識する
- 朝と昼に多めの水分を摂り、夜間の水分摂取を控える。
- 寝る前の1時間前には水分を控え、夜間頻尿を予防。
このような食事管理を意識することで、膀胱の健康を維持し、排尿トラブルを予防することが可能です。
方法5:適切な排泄ケア用品を活用する
排泄ケア用品の適切な活用は、高齢者のトイレトラブルを軽減し、生活の質を向上させる重要なポイントです。尿もれ対策として、適切な製品を選ぶことで、自信を取り戻し、安心して日常生活を送ることができます。
大人用おむつやパッドの正しい選び方
- 吸収量の確認:日中と夜間で適した製品を使い分ける。
- サイズの適合:体型に合ったものを選ぶことで、漏れを防ぎ快適に着用できる。
- 素材の選択:通気性の良い素材を選び、皮膚トラブルを防ぐ。
防水シーツや防水パンツの活用
- ベッドや布団を守る防水シーツの活用
- 日常生活で使用できる防水パンツでさらなる安心を確保
- 洗濯が簡単な再利用可能な製品を選ぶのもおすすめ
外出時の排泄対策
- 携帯用の尿取りパッドを持ち歩く
- トイレの位置を事前に確認し、移動の計画を立てる
- 外出時でも安心な吸収力の高いパンツタイプのオムツを利用する
適切な排泄ケア用品を選ぶことで、お漏らしの不安を軽減し、高齢者の自信を取り戻すことができます。
お漏らしが続く場合は専門医に相談を!
もし排泄トラブルが長期間続く場合や、対策をしても改善が見られない場合は、専門医に相談することをおすすめします。適切な診察を受けることで、より効果的な対策が見つかる可能性があります。
受診のタイミングと診療科の選び方
- 排尿の回数が極端に増えた・減った場合
- 尿もれの頻度が増え、生活に支障をきたしている場合
- 夜間頻尿が続き、睡眠に影響を及ぼしている場合
診療科としては、泌尿器科や老年科が適切です。女性の場合は、婦人科で相談することも可能です。
医師が処方する治療法やリハビリ
- 薬物療法:過活動膀胱や前立腺肥大に対する薬が処方されることがある。
- 膀胱トレーニング:尿意をコントロールするためのトレーニングを実施。
- 骨盤底筋リハビリ:筋力を改善し、尿漏れを防ぐための指導を受ける。
症状に応じて適切な治療を受けることで、生活の質を向上させることが可能です。
まとめ:トイレトラブルを軽減して快適な生活を!
高齢者のお漏らしやトイレトラブルは、適切な対策をとることで大幅に軽減できます。本記事で紹介した以下の方法を活用し、快適な生活を取り戻しましょう。
おさらい:トイレトラブル軽減の5つの方法
- 骨盤底筋トレーニングで尿もれを予防する
- トイレ環境を整えて排泄の負担を減らす
- 排泄リズムを整え、トイレの習慣をつける
- 食事と栄養で膀胱機能をサポートする
- 適切な排泄ケア用品を活用する
さらに、症状が改善しない場合は専門医に相談することも重要です。適切なケアと対策を実践し、快適で安心した日常を過ごしましょう。